経験的interface論


佐藤病院
高橋 究(kiwamu@fruits.linc.or.jp)

はじめに
ユーザ・インターフェース(以下UIと略す)は、コンピュータを使って楽しく仕事をする上で非常に大きな位置を占める。習得しやすいUIで、しかも使い慣れた人間にも便利なUIを開発しなければならない。
電子カルテのUIはそれを使う医師にとっては1日の大半をそれと向き合って仕事をする道具であり、その上で思考を巡らす場でもある。快適さをいくら追求してもこれで良いということはない。
筆者は、マイクロ・コンピュータの歴史と一緒にコンピュータライフを満喫してきた世代である。ワンボードコンピュータから、マイクロベーシックの走る環境、1980年にUCSD Pascalとの出会い、16ビットコンピュータの出現とともにUNIXの世界に足を踏み入れ、1988年からSun3でGUIつきのUNIXとつき合い、1992年からNeXTコンピュータ上で生活をしてきた。MS-DOSが出てきた時はUNIXですでに生活してきたし、Windowsがでた時はとっくにNeXTの上の生活をしていた。昔から良いOSがシェアを取るとは限らないのがコンピュータの世界であるが、良いOSの上で暮らせない人は不幸である。AppleとNeXTの合併は私には喜ばしいことで、Rhapsodyの発展に大いに期待をかけている。

OSに依存するUI

UIは多分にOSに依存する。OSの提供するAPI(Application interface)を利用してプログラム開発が行なわれるのであるからOSによってUIがきまってくるのは当然である。ユーザによって好みが分かれる所であるが、現在は某Mソフトの環境にシェアの上ではぎゅうじられている。食わず嫌いもあるが生理的に受け入れられないユーザもApple系ユーザには多いと思う。
私の育った環境は、UIに関しては非常に恵まれた環境であったともいえる。NeXTのprogramingにおいては、UI部分の設計が最も容易である。それに満足出来ずにオリジナルのUIを追加はしてきたが、それは一部分である。

私の考える使いやすいUI

1. キーボード、マウスとも一つでもアクションが少なくてすむように設計すべきでしょう。
・ 患者検索のフィールドを例にとると、患者番号での検索、患者名(漢字、カナ、ローマ字)での検索、住所や電話番号での検索がある。これらは、検索するフィールドの文字コードをソフトで解析することでモードを自動判別できることである。検索モードを指定してから、検索キーを押すのと、モード指定しなくて良い場合、1日に何回のマウス操作が省略出来るか考えてみてもらいたい。
・ マウスの移動、active なウィンドウの選択、activeなテキスト(first responder)の選択など、マルチ・ウィンドウを使ったシステムの欠点であるが、それらの動きの仕事の流れとの整合性、マウスの移動距離の問題にも充分配慮すべきであろう。

2. キーボードをもったらそのままマウスを持たなくても一連の仕事が出来る事。
2-1 マウスをもったらマウスで一連の仕事が出来る事。
・ キーボードとマウスを耐えず持ち替えないといけないソフトを見かけますが、ユーザアクションを出来るだけキーバインドして、キーボードから手を離さず同じことができるように設計すべきです。
2-2 データをセーブするということを明示しなくてもよいようにする。
・ カルテを開いて、記述する、診療が終われば閉じる。この流れでセーブされているということ。

3. 電子カルテの環境を考えれば、一度に複数の患者様のデータを処理出来る事。
・ 一度に複数のカルテを開いて処理出来る事は必須。実際の外来の流れは一患者ずつの処理ではなく、割り込みは始終起こる。

4. メイル、Webへのアクセスも同時にできること。
・ 当然のこと、電子カルテは環境である。

5. 一連の流れを一つのコマンドで処理できるように。
・ 科によっての違いはあるものの、特に外来診療においては、2/3以上の患者さんの処理は特殊なものはなく、同じ経路をたどるものが多い。プログラム上、色々なチェックの為にユーザに質問をだすことがあるが、同じ経路の場合はそれを省略できる。省略してある方をメインにして特殊な場合を例外処理とするようにプログラム設計を考慮する。これによっても外来での、キーボード、マウスのイベントは激減する。

6. 頻度順の表示モード
・ 各種リストの表示は、名前順、頻度順などのモードを設定すべきである。
・ できるだけ数少ない候補から選択できるように。

7. 可変長マトリクス
・ 可変長のマトリクスは処方などで便利

8. 検索、サマライズ