臨床検査データ交換と臨床検査項目コード

 

川真田文章
大塚製薬株式会社大塚アッセイ研究所

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1.臨床検査分野での標準化動向

 検査方法や精度管理など臨床検査そのものの標準化は1985年に設立された日本臨床検査標準協議会JCCLS(JapanCommittee for Clinical LaboratoryStandards)が中心となり信頼される臨床検査を目的として活動している。検査診断についても日本臨床病理学会「日常初期診療における臨床検査の使い方」小委員会で、効率よくかつ適切な検査の組合せ及びその使い方を検討し発表している。また、検査項目の略語などについて日本臨床検査自動化学会で主要な検査についてまとめている。

 システム間における臨床検査データ交換については、1993年医療情報システム開発センターMEDIS-DC臨床検査データ交換標準化協議会により「臨床検査データ交換規約(暫定版)」が発表され、その後検討を日本医療情報システム工業会JAHISに移行し、医療情報学会MML/Merit-9研究会などの協力のもと1998年にHL7に準拠した「JAHIS臨床検査データ交換規約Ver.1.0」が発表された。なお、HL7V2.3.1準拠ならびにマスターファイル更新を追加したVer.2.0を1999年夏に発表予定である。

 検査項目を効率的に識別するため夫々の目的によりコード化が図られてきた。多くは個々の施設内や同一分野内で利用するため作られたものである。このように様々な目的で夫々のコード体系が存在するが、互換性や流通性については考慮されているものは少ない。したがって多くの施設が関係する場合には、ある規約に則ったコードが必要である。このような例で最も広く利用されているのは診療報酬請求のためのコードであろう。しかしながら、これは保険点数表のどの検査が行われたかを表記するもので、個々の検査内容や結果を指示・蓄積するには不適切である。

 日本臨床病理学会では、1962年より長年にわたり臨床検査項目分類コードを発表してきたが、1980年代後半、検査依頼や結果報告に電子メディアや回線を使用することが増大する兆しがみられ、コンピュータで使用する事を前提とした大改訂を行うこととし、臨床検査センター有志による作業を開始した。医療の進歩を考えると、単に検査項目を列挙整理しコード付けすることでは次々と改訂を余儀なくされ、長期間の記録に耐えない恐れがあり、陳腐化しにくいコード体系とそれに基づいたコード付けを検討した。そこで検査項目を構成する要素を洗い出し、要素ごとにコードを付け、要素の組合せで実際の検査項目を表現する方法を採用した。これに基づき作成されたコード体系を、臨床検査項目分類コード第8回改訂として1990年に発表した。さらに1994年には結果識別コードも組込んだ第9回改訂を、1997年には英文も併記した第10改訂を発表している。なお、このコード体系は医療情報における用語・コード標準化事業(MEDIS-DC・厚生省)の臨床検査項目コードの標準コードとしても取り上げられている。

 

2.JAHIS臨床検査データ交換規約Ver.1.0

 臨床検査データ交換のための規約であり、異なるシステム間のインターフェースとなる標準的フォーマットである。本規約はOSI手順の第7層アプリケーション層に由来したHL7に準拠したものであり、物理的規約は制定していない。コード化規則による区切文字|^~\&で区切られた可読的な可変長メッセージである。メッセージ交換は当面ファイルとして扱われるものとする。

 メッセージ(例えば検査依頼)は具体的な事象トリガーイベント(例えばオーダー)により発生し、メッセージヘッダーセグメント(MSH)で始まり、データ構成要素フィールド(例えば患者名)からなるデータをもったセグメント(例えば患者属性)の集合として構成される。主要なセグメントの概要を図3図4図5図6に示す。

 検査項目コードや材料コードにはHL7ではLOINCコードを推奨しているが、日本では日本臨床病理学会臨床検査項目分類コードでコーディングされた検査項目コードや材料コードを使用することを推奨する。第10改訂を使用した場合のデータ型CEにおけるコーディングシステム名はJC10である。

 

2.1.臨床検査依頼メッセージ

 臨床検査依頼メッセージ(ORMメッセージ)のセグメントと構文規則を図1に示す。具体的な検査内容はOBRセグメントで記述するが、日本では検査内容(例えば糖負荷試験)の個別の検査項目をオーダー側が指定する場合が多く、個別のOBRを多数繰り返す必要があり、検査結果を返すときもOBR・OBXの対を繰り返さなければならず使い勝手に難があった。そのためOBXの仕様を拡張し検査依頼項目を指定する際にも使用できるようHL7の改変を求めV2.3.1に反映されている。この結果、検査依頼時にもOBXを使用し下記のように日本でもなじみやすい構成をとることができるようになった。 

 

MSH

メッセージヘッダー

PID 

患者属性

ORC

共通オーダー管理情報

OBR

生化学肝、血清、検体1本

 

OBX

GOT

OBX

GPT

ORC

共通オーダー管理情報

OBR

100gGTT、血漿、検体4本

 

OBX

血糖 負荷前

OBX

血糖 30分

OBX

血糖 60分

OBX

血糖 120分

   

2.2.臨床検査結果メッセージ

 臨床検査結果メッセージ(ORUメッセージ)のセグメントと構文規則を図2に示す。OBRセグメントには依頼時の情報に加え検査実施者側の情報が追加される。OBXセグメントは依頼時のOBXとは関係なく実際の検査結果表現の最小単位である個々の検査結果や検査診断情報ごとにOBXセグメントを1個使用する。例えば1検査項目の結果の表記が定量値・判定・コメントの3つで構成されるなら3つのOBXセグメントを用いる。すなわち検査報告ORUメッセージにおいてOBXセグメントの出現件数は検査項目により固定されるものでなく、検査結果や検査施設の運用で可変となるものである。

 

2.3.定性結果値等の表現方法について

 OBXセグメントの検査結果値(OBX-5)は必ず値型(OBX-2)で定義されているものであり、下記に参考のため例を示す。

OBX-2値型

OBX-5検査結果値

検査結果の表示

NM

+0123.5 

123.5または+123.5

NM 

-0199.8 

-199.8

NM

<100

(誤り)

NM

+4.5E+3

4.5E+3または+4.5E+3(4.5x103)

ST

+0123.5

+0123.5

ST

<100

<100

ST

陽性

陽性

CE

^陽性

陽性

SN

<^100

<100

SN

<^1E+2

<1E+2(<100)

      

 特に定性結果値の場合、そのままST型にて表現する方法とSN型で表記する方法がある。SN型はデータを構造的に表現するため統計的扱いに適するが表示の際に編集が必要である。どの値型を使用するかは、検査報告をする施設に委ねられるが結果を受け取る側のシステムではどの値型でも正しく処理できる様配慮しなければならない。

 

2.4.検査結果コメントの例

 検査結果コメントは検査結果のOBXに続くOBXで表現する。コメントの値型はSTやTXが代表的と考えられるがコメントコードでの運用しか出来ない場合は二者間の協議で値型CEでコードでの運用も可能である。出来る限りコメント内容に制限のないフリーテキストを推奨する。下記はその例である。

  検査結果

   OBX||NM|3A016000002327101^A/G比^JC10||2.33||1.30-2.00|H|||F

  コメント

   OBX||CE|3A016000002327101&TCM^^JC10||E01^参考値です^L||||||F

 

3.臨床検査項目コード

3.1.日本臨床病理学会臨床検査項目分類コード第10回改訂(JLAC10)

 日本臨床病理学会臨床検査項目分類コードは分析物コード、識別コード、材料コード、測定法コード、結果識別コードの5つのコード体系よりなる(図7)。

 分析物コードは本コード体系の基本となるもので5桁の文字列で分類される。1桁目が大分類、2桁目が中分類を表している。原則として検査対象物質を基本にしているが、反応名や検査法を適用しているものもある。

 識別コードは分析物コードで分類が難しい項目または各分析物に共通の項目を明確に識別・分類するために使用する。これには負荷試験時間識別、検体識別、定性・定量識別、ウイルス識別、超音波識別、アレルゲン識別、CD識別、薬剤感受性検査識別、病理細胞診における抗原・マーカー種識別、細胞診採取法識別、遺伝子識別があり4桁で表現している。

 材料コードは一般成分分析などでは材料コードT、細胞診・生理機能検査などに用いる組織の詳細及び生体部位については材料コードUを適用する。材料コードは特別な場合を除き代表的材料に集約して使用するのが望ましい。例えば、尿は001尿(含むその他の尿)、004蓄尿、血液は018全血、022血漿、023血清に分類することが望ましい。即ち、検査項目の測定系を代表する標準的な検査材料を示すものである。

 測定法コードは測定方法を明示するもので3桁で表現される。同一測定方法でありながら試薬メーカーなどにより異なる結果特性が見られるものについてはやむをえず、その他−Tなどをもうけコーディングの便を図っている。

 結果識別コードはその結果成分の属性により固有コードと共通コードの別を定めている。結果識別固有コードは一依頼検査項目について複数の結果成分が発生する特に定めた分析物コードに対し、従属して定義されるもので51〜99で付番される。この固有コードは実際の検査施設で発生する報告様式に即して、その一部ないしは全てを使用する。検査識別共通コードは固有コードで定めるものを除き、結果成分の意味するところを定義する。代表的なものでは、定量値、構成比、希釈倍率、判定、型、コントロール値、結合率などがある。また、複数結果となる検査項目で結果を持たず見出し項目名として報告に用いられる場合は00をセットする。

 臨床検査項目分類コードはこれら5つのコードを組合せ、実際の検査項目コードとして使用する。検査依頼時では結果識別コードを除く15桁で表現され、結果報告時ではさらに結果識別コードが追加され17桁で表現される(図8、説明のため各分類コード間に“‐”を入れてあるが実際のコードは連続する15または17桁の文字列である)。

 

3.2.臨床検査項目分類コードの利用

 日本臨床病理学会臨床検査項目分類コードJLACによりコーディングされた検査項目コードを利用することにより、医療関係機関から発生する検査項目コードが標準化され、システム相互の情報交換が効率的かつ正確に出来るようになる。だだし、15桁ないし17桁のコードを直接入力したりすることは実用的でない。個々のシステムはそれぞれの目的にかなった運用をするための検査項目コードを設定し、それをJLACで定義しておき、データベースや対外的データにはJLACでコーディングされたコードを使用することで長期間広域的に流通する検査データとすることができる。即ちJLACでコーディングされた検査項目コードは、個々のシステムを越えたインターフェースとしての役割を担うものである。これにより個人の検査データが容易に一元化でき、患者中心のチーム医療の実現に効果を発揮するだけでなく、システム開発の面からも個別に検査項目変換を行う必要がなく大幅にコスト削減が可能となる。

 JLACによる検査項目のコーディングは担当者の解釈の違いなどにより必ずしも同一になるとは限らない。そこでJLAC検討メンバーでは各検査センターで常用されているコードのすりあわせを行ないコーディング例として公表の予定である。また、検討メンバーの各検査センター受託項目についてはJLACでコーディングした資料を提供できることになっている。また、一部臨床検査センターの検査案内書などにも利用者の便を図るためJLACコードを併記したものがみられる。

 

3.3.臨床検査データ交換規約Ver.1.0における検査項目コードと検査材料の関連

 JLACでコーディングした検査項目コードには材料コードが設定されているが、検査項目コードはあくまで一つの検査項目測定系を示すものであり、検査データを扱うシステムでは検査項目フィールドと検査材料フィールドを別に持つべきである。HL7−OBR/OBXで用いる場合、検査項目フィールドにはオーダーする検査項目を示すコード(すなわち商品コードのような性格)、検査材料フィールドには実際に提出する検体の材料コードを設定する。材料コードも日本臨床病理学会臨床検査項目分類コードの材料コード(部位も含む)を用いることを推奨する。第10改訂を使用した場合のデータ型CEにおけるコーディングシステム名はJC10である。

 

3.4.LOINC (Logical Observation Identifier Names and Codes)

 米国の臨床検査データ交換仕様の一つであるASTM E1238(AmericanSociety for Testing andMaterials)やそれを取り入れたHL7では、検査項目コードとして幾つかの体系をあげているが、これらコード体系間では互換性がない。そこでこれらを相互に関連付ける"universal"コードとして、LOINC(当初LaboratoryObservation Identifier Names and Codes,現在Logical ObservationIdentifier Names andCodes)が1995年4月に発表された。LOINCでは、図9で示す6つの要素で検査項目を定義する。LOINCデータベースはLOINCで定義された検査項目に対して、一意のLOINCコードを付番し、CPT,EUCLIDES, ASTM, IUPAC,SNOMEDなどと対比したものなっており、LOINCを介在して相互のシステム間でデータ交換が出来ることを示している。将来、日本臨床病理学会臨床検査項目分類コードとの対比も可能であろう。LOINCは拡張され身体所見などのClinicalLOINC(図10)を追加している。JLACにおいてもこれらを充実すべくLOINCデータベースを参考に作業中である。以下にLOINCの定義例を示す。

   SODIUM:SCNC:PT:SER:QN

   CREATININE.RENAL CLEARANCE:VRAT:24H:UR:QN

   GLUCOSE^BS 100 G GLUCOSE PO:MCNC:PT:SER:QN

   GLUCOSE^30M POST 100 GM GLUCOSE PO:MCNC:PT:SER:QN

   GLUCOSE^2H POST 100 GM GLUCOSE PO:MCNC:PT:UR:QN

   GENTAMICIN^TROUGH:MCNC:PT:SER:QN

 

4.臨床検査依頼ORM・検査結果ORUの例

4.1.HL7 V2.3.1による臨床検査依頼送信ORMメッセージの例

V2.3.1仕様の日本語を含む検査依頼メッセージmn123を6/5に訓練として送信。

MSH|^~\&||Seagaia||LAB|19990605||ORM^O01|mn123|T|2.3.1||||||~JISX 0208|JP|JIS X 0202

患者氏名は大塚太郎、男、1950年5月23日生、従業員番号OPC-001、患者IDPID001である。

PID||OPC-001|PID001||OTSUKA^TARO^^^^L^A~大塚^太郎^^^^L^I~おおつか^たろう^^^^L^P||19500523|M

大塚二郎先生は6/59:30に心電図と生化学肝セット(GOT,GPT,LDH-ISO)および糖負荷試験(前,30分,60分,120分)を依頼、オーダー番号はそれぞれ0523001,0523002,0523003でありそのグループ番号は0523001である。オーダー先は心電図は心電図検査室、検体検査はOALである。検体は6月5日に採取され生化学は血清検体として1本、糖負荷試験は前値,30分,60分,120分のヘパリン血漿検体4本である。

ORC|NW|0523001||0523001|||||199906050930

OBR||0523001||9A100^心電図^JC10||19990605||||||||||^大塚^二郎^^^^L^I||||||||EC

ORC|NW|0523002||0523001|||||199906050930

OBR||0523002||^生化学肝set^L||19990605|19990605||||||||023|^大塚^二郎^^^^L^I||||||||OAL|||||||||||||1

OBX||NM|3B0350000023272^GOT^JC10||||||||O

OBX||NM|3B0450000023272^GPT^JC10||||||||O

OBX||NM|3B0550000023233^LDH-ISO^JC10||||||||O

ORC|NW|0523003||0523001|||||199906050930

OBR||0523003||^OGTT^L||19990605|19990605||||||||022^ヘパリン|^大塚^二郎^^^^L^I||||||||OAL|||||||||||||4

OBX||NM|3D0101000022272^血糖前値^JC10||||||||O

OBX||NM|3D0101030022272^血糖30M^JC10||||||||O

OBX||NM|3D0101060022272^血糖60M^JC10||||||||O

OBX||NM|3D0101120022272^血糖120M^JC10||||||||O

 

4.2.HL7 V2.3.1による臨床検査結果ORUメッセージの例

V2.3.1仕様の日本語を含む検査結果メッセージmn256を6/6に訓練として送信。

MSH|^~\&||LAB||Seagaia|19990606||ORU^R01|mn256|T|2.3.1||||||~JISX 0208|JP|JIS X 0202

患者氏名は大塚太郎、男、1950年5月23日生、従業員番号OPC-001、患者IDPID001である。

PID||OPC-001|PID001||OTSUKA^TARO^^^^L^A~大塚^太郎^^^^L^I~おおつか^たろう^^^^L^P||19500523|M

大塚二郎先生の6/5依頼、オーダー番号0523001の心電図は6/510:00に測定され、大塚三郎先生の所見で重大な左心房収縮期異常と最終報告として報告された。

OBR||0523001||9A100^心電図^JC10||19990605|199906051000|||||||||^大塚^二郎^^^^L^I||||||||EC|F|||||||^大塚三郎

OBX||TX|9A100&IMP^心電図所見^JC10||左心房収縮期異常|||AA|||F

生化学1本と糖負荷試験4本の検体は検査所OALで6/5に受領され技師太郎検査技師により測定された。結果はGOT50U 基準値6-28 正常母集団からみて高値である。GPT 5U 3-9基準値内、LDH-ISOは分画でそれぞれ10,30,20,40%であった。同様に血糖値はOALの技師二郎検査技師によって測定され80,150,100,60mg/dlですべて基準値内であった。検査料はそれぞれ1000円と2000円である。

OBR||0523002|123456701^OAL|^生化学肝set^L||19990605|19990605|||||||19990605|023|^大塚^二郎^^^^L^I|||||||1000^YEN|OAL|F|||||||||^技師太郎|||1

OBX||NM|3B035000002327201^GOT^JC10||50|U|6-28|H||N|F||||OAL

OBX||NM|3B045000002327201^GPT^JC10||5|U|3-9| ||N|F||||OAL

OBX||ST|3B055000002323300^LDH-ISO^JC10||||||||F||||OAL

OBX||NM|3B055000002323351^LDH1^JC10||10|%|||||F||||OAL

OBX||NM|3B055000002323352^LDH2^JC10||30|%|||||F||||OAL

OBX||NM|3B055000002323353^LDH3^JC10||20|%|||||F||||OAL

OBX||NM|3B055000002323354^LDH4^JC10||40|%|||||F||||OAL

OBR||0523003|123456702^OAL|^OGTT^L||19990605|19990605|||||||19990605|022^ヘパリン|^大塚^二郎^^^^L^I|||||||2000^YEN|OAL|F|||||||||^技師二郎|||4

OBX||NM|3D010100002227201^血糖前値^JC10||80|mg/dl|60-100|||N|F||||OAL

OBX||NM|3D010103002227201^血糖30M^JC10||150|mg/dl|90-200|||N|F||||OAL

OBX||NM|3D010106002227201^血糖60M^JC10||100|mg/dl|80-160|||N|F||||OAL

OBX||NM|3D010112002227201^血糖120M^JC10||60|mg/dl|50-100|||N|F||||OAL

 

4.3.細菌検査(培養同定・感受性試験)の例

培養同定は、培養により発生する細菌種の数が不定であるが、同定できた菌名が検査結果でありその数だけOBXセグメントを作成する。さらに、感受性試験は同定できた菌ごとに行われるので、それに対応したOBRセグメントを生成し、試験薬剤ごとにOBXセグメントで結果報告する。感受性試験やその対象薬剤は施設により予め定めている場合と、個々に依頼する場合があるので事前の確認が必要である。

血液培養依頼ORMメッセージ

MSH|・・・・・

PID|・・・・・

OBR|1|2740X^OE||6B0100000017742^血液培養^JC10|R|198703280600|198703290800|||99-2^JONES&COLLECTOR|N|Hepatitisrisk|||017&&JC10|4010^INTERN^JOE^^^^MD^L|X3472<CR>

血液培養依頼時に感受性試験も明示的に依頼しなければならない場合は続けて

OBR|1|2740X^OE||6C2050000099762^薬剤感受性MIC^JC10|R|198703280600|198703290800||||A|||||4010^INTERN^JOE^^^^MD^L|X3472<CR>

さらに感受性対象薬剤も明示的に指定する場合は

OBX|1|ST|6C205603109976205^Ampicillin MIC||||||||O<CR>

OBX|2|ST|6C205604209976205^Carbenicillin MIC||||||||O<CR>

OBX|3|ST|6C205623009976205^Gentamicin MIC||||||||O<CR>

 

血液培養報告ORUメッセージ

MSH|

PID|

OBR|1|2740X^OE|BC376^MIC|6B0100000017742^血液培養^JC10|R|198703280600|198703290800|||99-2^JONES&COLLECTOR|N|Hepatitisrisk||198703290830|017&&JC10|4010^INTERN^JOE^^^^MD^L|X3472|||||198703301000||MB|F|<CR>

OBX|1|CE|6B010000001774214^血液培養^JC10|1|^EColi|||A||F<CR>

OBX|2|CE|6B010000001774214^血液培養^JC10|2|^SAureus|||A||F<CR>

 

薬剤感受性試験結果報告ORUメッセージ

MSH|

PID|

NTE|培養同定依頼<CR>

OBR|1|2740X^OE|BC376^MIC|6B0100000017742^血液培養^JC10|R|198703280600|198703290800|||99-2^JONES&COLLECTOR|N|Hepatitisrisk||198703290830|017&&JC10|4010^INTERN^JOE^^^^MD^L|X3472|||||198703301000||MB|F|<CR>

NTE|同定結果<CR>

OBX|1|CE|6B010000001774214^血液培養^JC10|1|^EColi|||A||F<CR>

OBX|2|CE|6B010000001774214^血液培養^JC10|2|^SAureus|||A||F<CR>

NTE|結果1=E.coliの依頼追加<CR>

OBR|2|2740X^OE|BC402^MIC|6C2050000099762^薬剤感受性MIC^JC10|R|198703281230|198703290800||||G|Hepatitisrisk||198703290830|017&&JC10|4010^INTERN^JOE^^^^MD^L|X3472|||||198703310900|40.00|MB|F|6B0100000017742&&JC10^1|||2740X&OE^BC376&MIC<CR>

NTE|E.coliの感受性結果<CR>

OBX|1|ST|6C205603109976205^AmpicillinMIC||<2|ug/ml||S|||F<CR>

OBX|2|ST|6C205604209976205^CarbenicillinMIC||<16|ug/ml||S|||F<CR>

OBX|3|ST|6C205623009976205^GentamicinMIC||<2|ug/ml||S|||F<CR>

NTE|結果2=S.Aureusの依頼追加<CR>

OBR|3|2740X^OE|BC403^MIC|6C2050000099762^薬剤感受性MIC^JC10|R|198703281230|198703290800||||G|Hepatitisrisk||198703290830|017&&JC10|401.0^INTERN^JOE^^^^MD^L|X3472|||||198703310900||MB|F|6B0100000017742&&JC10^2|||2740X&OE^BC376&MIC<CR>

NTE|S.Aureusの感受性結果<CR>

OBX|1|ST|6C205603109976205^AmpicillinMIC||<8|ug/ml||R|||F<CR>

OBX|2|ST|6C205632109976205^ClindamycinMIC||<.25|ug/ml||S|||F<CR>

OBX|3|ST|6C205623009976205^GentamicinMIC||<1|ug/ml||S|||F<CR>

 

5.関連情報入手先

 JAHIS臨床検査データ交換規約Ver.1.0および関連資料

   http://www.h.u-tokyo.ac.jp/merit9/

 HL7関係

   http://www.mcis.duke.edu:80/standards/HL7/hl7.htm

   http://www.hl7.org/

 日本HL7協会

   http://www03.u-page.so-net.ne.jp/wc4/hl7japan/

 日本臨床病理学会臨床検査項目分類コード第10改訂

   http://www.alles.or.jp/~jscp1/

 LOINC

   http://www.mcis.duke.edu:80/standards/termcode/loinc.htm