中島淳博
国立病院九州医療センター心臓外科


診療におけるインセンティブは支払いによる場合が多く、かつ木(患者)を見て森(医療全体)を見ない傾向に強いとも言える。
即ち個々人に対してどの様な意識付けをするかが問題であろう。
この場合医師もしくは医療の評価を行うこととこれが医師の診療現場にfeedbackされる必要がある。
すなわち院内、院外にてそれぞれ診療結果に対して正しい評価を受けることと、収入もしくは施設などの投資としてその結果に現れるということである。
現在では良い評価は患者数の増加、その他の作業の増加により同じpaymentで労働量が増えるだけの結果となる。少なくとも国立病院では。

 

医療情報システムが何の役割を果たしうるか?

概してこのような情報システムは管理者には大変好都合なれど利用者にはなかなか好都合とは行かない。
医師をはじめとする医療関係者への意識付けを行うためには定期的なレポートや日々の診療に対するコメントを与えることで全体の中の個(医師、患者ともに)を見えるようにすることが必要である。
しかしながらこれは管理以外の何者でもなく強制、締め付けにしか感じ得ないであろうから不評を被ると予想する。

全体像を明らかにするためには正しいDBに基づく森の風景を描き出すことが必要であり、これは院内レベルと全国レベルで同時進行は可能である。この中には結果としての診療内容だけではなく治療結果、予後や患者背景(重症度など)を描き出すことが求められる。疾患の重症度や結果などの性格のものは本来専門の学会レベルで標準化を行うことが必要であり、かつこれを強制しうる力を伴うことが必要となる。この場合強制力としては支払いしか考えられない。

DRGの試行は全体像を描き出す作業と認識しており、現在の問題点は正しいDBを如何に作成するか、どのようにチェックするかにある。DRG/PPS試行により診療内容は変化しているとは感じない。将来的にはその診療結果を如何に評価しfeedbackしていくかを求めたい。