健政発第 517号
医薬発第 587号
保 発第 82号
平成11年4月22日
各都道府県知事 殿
厚生省健康政策局長
厚生省医薬安全局長
診療録等の記載方法については、「診療録等の記載方法について」(昭和63年5月6日付け厚生省健康政策局総務・指導・医事・歯科衛生・看護・薬務局企画・保険局医療課長、歯科医療管理官連名通知)により、作成した医師等の責任が明白であれば、ワードプロセッサー等いわゆるOA機器により作成することができるものと解されているところであるが、診療録等の電子媒体による保存の可否については、これまで明らかにされていないところである。
そこで、今般、下記1に掲げた文書等(以下「診療録等」という。)について、下記2に掲げる基準を満たす場合には、電子媒体による保存を認めるとともに、その実施に際し、留意すべきことを下記3のとおり示すこととしたので、御了知の上、関係者に周知方をお願いする。
この基準は、診療録等の電子媒体による保存を行うに際してのものであり、診療録等の情報活用を行うに際しての基準ではないことから、各医療機関においては、保存された診療録等の情報が発生源入力システム、新旧のシステム等のシステムにおいて、支障なく利用されるように注意を払うよう、合わせて関係者に周知方をお願いする。
なお、本通知をもって、「エックス線写真等の光磁気ディスク等への保存について」(平成6年3月29日付け健政発第280号厚生省健康政策局長通知)は廃止する。
また、この通知は電子媒体による保存を義務づけるものではなく、紙媒体により保存する場合には従来どおりの取扱いとする。
さらに、本年3月11日、高度情報社会医療情報システム構築推進事業による診療録等の電子媒体による保存に関するガイドライン及び運用管理規定例の検討の結果が取りまとめられたところであるので、参考までに送付する。
1 電子媒体による保存を認める文書等
(1) 医師法(昭和23年法律第201号)第24条に規定されている診療録(2) 歯科医師法(昭和23年法律第202号)第23条に規定されている診療録
(3) 保健婦助産婦看護婦法(昭和23年法律第203号)第42条に規定されている助産録
(4) 医療法(昭和23年法律第205号)第21条、第22条及び第22条の2に規定されている診療に関する諸記録及び同法第22条及び第22条の2に規定されている病院の管理及び運営に関する諸記録
(5) 歯科技工士法(昭和30年法律第168号)第19条に規定されている指示書
(6) 薬剤師法(昭和35年法律第146号)第28条に規定されている調剤録
(7) 救急救命士法(平成3年法律第36号)第46条に規定されている救急救命処置録
(8) 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第9条に規定されている診療録
(9) 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第6条に規定されている調剤録
(10) 歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第46号)第18条に規定されている歯科衛生士の業務記録
2 基準
法令に保存義務が規定されている文書等に記録された情報(以下「保存義務のある情報」という。)を電子媒体に保存する場合は次の3条件を満たさなければならない。
(1) 保存義務のある情報の真正性が確保されていること。
○故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。
○ 作成の責任の所在を明確にすること。
(2) 保存義務のある情報の見読性が確保されていること。
○情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること。
○情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること。
(3) 保存義務のある情報の保存性が確保されていること。
○ 法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること。
3 留意事項
(1) 施設の管理者は運用管理規定を定め、これに従い実施すること。(2) 運用管理規定には以下の事項を定めること。
_ 運用管理を総括する組織・体制・設備に関する事項
_ 患者のプライバシー保護に関する事項
_ その他適正な運用管理を行うために必要な事項
(3) 保存されている情報の証拠能力・証明力については、平成8年の高度情報通信社会推進本部制度見直し作業部会報告書において説明されているので、これを参考とし十分留意すること。
(4) 患者のプライバシー保護に十分留意すること。