急性期病院経営におけるベンチマーキング

 

岡 敬二
医療法人敬和会 大分岡病院副院長 


敬和会大分岡病院のプロフィール

・昭和29年開設

診療科14科、ベッド数222床、平成10年リニューアル、1床当たり8平米、1日外来患者数403人、1日入院患者数193人、病床稼働率88.1%、2.5対1看護A加算 

・2次救急固定輪番制

・年間救急車搬送件数:約700台

・介護保健施設・大分豊寿苑(90床)

・訪問看護ステーション

・病児保育事業

・日本整形外科学会認定研修施設 

           

 

本日のプレゼンテーション

・院内情報システム

・現在までの急性期病院としての取り組み

・低侵襲手術・検査

・短期入院システム

・ベンチマーク分析

 

院内情報ネットワークについて

3社共同乗り入れによる

院内情報システム

・セレセプト管理システム(サンヨーメディコム)

・オーダーエントリー・システム(システム・ビッツ) 病棟管理、処方・食事オーダー・メール      画像ファイリングシステム・服薬管理システム

・検査システム( SRL )
SRLとの検査室共同事業運営(FMS) (検査売上額に応じて手数料を支払うシステム)

・すべてPCによるクライアント・サーバーシステム

 

急性期病院としての取り組み

・平均在院日数の短縮

・医療の質

・コストマネージメント

 

低侵襲手術

特に、内視鏡下外科手術について

 

短期入院システムについて

短期入院システム

・日帰り手術の立ち上げに失敗 (平成10年春)

・日帰り手術:トップダウンで行うこと;院内ヒエラルキーの排除が成功の鍵

・短期入院システムに変更:専属入院コーディネーターが担当

・下肢静脈瘤の1泊入院手術から開始

・理容、美容師、板前、小さな子供のいる主婦に希望が多い

・現在、ヘルニア・腹腔鏡下胆嚢摘出術にも拡大

 

ベンチマーク分析

今回のベンチマーク事業について

・期間:'98 7月~ '99 5月

・対象患者数:2,378名

・内部(院内)ベンチマーク

・外部との比較ベンチマーク(他施設との比較)

 

現在の急性期病院にもとめられるパフォーマンスマネージメント

いかに医療の質を高め、維持していくか

   最新技術と高い治療成績

高レベルの運営効率を実現していくか

   短期入院システムによる平均在院日数の短縮

財務面の安定性を確保するか

   収入の最大化、コストの最小化  

 

参加11病院のプロフィール

 

内部ベンチマーキング

部門毎の平均在院日数

部門毎の利益率

内部ベンチマーク分析結果のまとめ

・運営指標:内科と整形外科の平均在院日数が長い

・財務指標内科は高コストで損失率が大きい。外科の利益率は高い

・医療の質の指標:内科と消化器科の再入院率が高い。内科と外科の死亡率について他の病院とのベンチマークが必要

 

外部ベンチマーキング

参加11施設の入院部門利益

各科別分析

整形外科、小児科、産婦人科、内科、外科)

平均在院日数

再入院率

死亡率 

利益率

 

外部ベンチマーク分析結果のまとめ

・運営指標:平均在院日数は,11病院中7番目に長い。特に,内科の平均在院日数が長い

・財務指標:内科の利益率は他の病院との比較において最低で,最もコストが高い。外科の利益率は高いが、他の病院も外科の利益率は高い。整形外科の利益率は低い

・医療の質の指標:内科の再入院率と死亡率は高い。外科の死亡率は低い

 

ベンチマーク分析結果から提起されるパフォーマンス向上のための対策案

・平均在院日数の短縮化

・外科・整形外科の利益率を高める

・内科に関しては、疾病別の詳細な分析が必要。

内科医師数、診療レベル、全ての診断やその処置など

 

第1回ベンチマーク分析後のアクションプランの1例

99,4月〜00,2月

平均在院日数短縮のための

      短期入院システムの推進

外科における短期入院システムの推進

・腹腔鏡下胆嚢摘出術

・ 下肢静脈瘤ストリッピング手術

ベンチマーク前後の平均在院日数の推移

     手術症例の推移                    

 

今後のマネージメントの目標

財務面:SPD(仕入れ・在庫管理システム)導入によるコスト管理の徹底(平成13年開始予定)

運営面:継続的なベンチマーク分析⇒ さらに急性期病院としてのパフォーマンスを高めていきたい電子カルテ導入、既存の情報システムとのリンク

医療の質:新しい低侵襲手術や検査の導入

   Fast Track Careの更なる推進

       再入院、死亡率の低減

       (スタッフの充実と継続教育)