1.プロジェクト概要
患者、診療所、病院、薬局、検査センターで利用可能な電子カルテおよび共同利用サーバーを開発し、EBMや経営分析の情報収集・活用を実現する全県的でセキュアな健康福祉情報ネットワーク(宮崎健康福祉ネットワーク)を構築する。
2.提案システムの目的・目標
提案システムの最大の目的は、IT技術により医療に変革をもたらすことである。手紙が電子メールに替わり仕事の質が変化したように、医療の情報化により質の向上を図る。具体的な目標は、(1)全県的、包括的な地域医療情報ネットワークを構築することにより、医療の閉鎖性を解消でき、一地域一患者一カルテを実現し、患者情報を一元管理することを可能とすること。
(2)医療情報の流通を促すシステムを構築し、患者と医療機関の情報格差を是正すること。
(3)患者の医療への参加を促進し、患者中心の医療を実現すること。
(4)多数の組織にまたがり運用される事により、EBM構築や経営分析に活用できるシステムを構築すること。
(5)真にオープンなシステムを構築し、後年度に多数の機関が参加しやすい枠組みを提供すること。
(6)経済的に自立可能であり、継続的にシステム運営を可能とすること。
(7)最終的に、医療の効率化が図られ、医療費の効率的運用に繋がること。
3.システムの説明
(1)システム構成本ネットワークは、全県的、包括的な地域医療情報ネットワークであるため、構成組織(機関)や提供するサービスも多岐にわたる。
【ネットワーク構成組織】
- 構成医療機関は、医科診療所(10)、病院(県立病院3、医師会立救急病院3、国保病院1、民間1)、薬局(8)、臨床検査センター(2)、大学病院(1)である。
- ネットワークセンターを設置する。平成13年度は、大学病院電算機室にハードウェアを設置する。
- 足回り回線への支援のため、回線会社(宮崎ケーブルテレビ、テレビネットワーク延岡、都城ケーブルテレビ、九州電力宮崎支店、NTT西日本宮崎支店)も協力する。
- 支援組織として、県医師会、郡市医師会(2)、宮崎県が協力する。
【ネットワークインフラ】
- 回線は既存のもの(個別の機関により選択)を利用するが、平成14年度以降は、光ファイバー網(宮崎情報ハイウェイ21)に接続するものとする。
- セキュリティ確保のため、医療機関ごとにファイアウォールを設置する。また、認証と電文暗号化には公開鍵方式を採用し、認証局を設置する。医療従事者だけでなく患者にも証明書を発行する。
【各構成組織のシステム】
- ネットワークセンターのシステム
認証システム
ゲートウェイシステム(SSGW、SDAA、ACA)
共同利用電子カルテデータベースシステム
真正性保証システム
アプリケーション配信システム- 医科診療所のシステム
電子カルテシステム
医事システム:日医総研のORCA(仮称)を元に,電子カルテと接続する。- 薬局のシステム
医科診療所と同じシステムであるが、特に電子処方箋受信、薬剤指導業務記録に用いる。- 臨床検査センターのシステム
- 医科大学のシステム:地域連携用電子カルテデータベース
4.運用実験終了後の運用計画
本システムは、運用実験終了後は一部のサービスを有料化し、会費収入を基に引き続き運用を行うものとする。
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