地域医療連携の新たな動き
ー宮崎地域の現状と今後(はにわネット)ー

鈴木斎王
宮崎大学医学部附属病院 医療情報部


【はにわネットの現状】

平成14年度の参加医療施設は64施設から79施設に増加し、センターでのデータ保有患者数は約4万人を数えるに至っている。しかし、実際に連携を行っている患者数は49例から108例(登録数は354件)と、伸び悩んでいるのが現状である。とはいえ、「マルチメディア祭inみやざき」で大々的に宣伝した効果もあってか、問い合わせや取材依頼は増えている。このことからも分かるように、いかにメディアも含めた宣伝活動(啓発活動)を積極的にするかが重要である。はにわネットでも、地域医療連携研究会(宮崎医療連携研究会)を立ち上げ、医療関係者への啓発を行うと同時に、ネットワークの各となる中規模病院向けの医療情報システムを開発している。

【宮崎医療連携研究会】

昨年度に2回開催し、講師として国立熊本病院の副院長、軽井沢病院および佐久総合病院の看護師長の方々を招いてクリニカルパスの講演をしていだいた。同研究会では「ハートフルキャップ(障害者ネットワーク)」「介護連携」「地域クリニカルパス」「ウェルネス事業」「基盤整備」「地域SPD」の6つの分科会を設置し、人的ネットワークの構成にも努めている。

【中規模病院向け医療情報システム】

はにわネット向けに、電子クリニカルパスを念頭に置いたシステムを開発している。「IZANAMI」(Intelligent Zero-Aborting NAvigation system for Medical Information)と命名しており、次のような特徴を持つ。

  1. はにわネットの地域連携に完全対応
    地域連携を前提として開発された連携電子カルテシステムであり、はにわネットの地域連携機能をフルに活用して、地域連携(病-診、病-病、医-薬、病-介護、対患者)を効率よく行い、地域の中核病院として、より高度な地域貢献、患者サービス提供を支援する。
  2. 短期導入、利便性、低コストを目標に開発
    センター集中管理方式(ASP方式)、画面設計のマスタ対応ユーザー個別対応の効率化をはかり、病棟携帯端末には、音声入力機能も追加。
  3. 電子クリニカルパス機能
    オーバービュー、アウトカム評価、バリアンス集計、日めくりパスなど、パスの機能を使いやすい形で電子化。
  4. 便利なスタンプ機能
    よく使う診療行為等をセット化し「スタンプ」として登録し、ドラッグアンドドロップで簡単に再利用する機能を備えている。

【今後の課題】

上記のように、医療機関向けにははにわネットの普及策を講じているが、患者や住民向けにはTVや新聞などのメディアに訴えていくだけでなく、パソコン教室などを行い実際の有益さを理解していただく必要がある。出来れば、患者側から医療機関へはにわネットへの参加を要求されるようになれば良いと考える。